そもそも精子って…??

不妊治療といえば、どうしても卵子に目が行きがちですが、精子も受精の半分を担う重要な役割を持っています。今回はそんな「精子」についてお話いたします。

そもそも「精子」とは?

知っているようで知らないことも多い精子ですが、作られるまでには長いストーリーがあります。

精子の始まりは、陰嚢の中にある精巣、さらにその精細管という場所で「精原細胞」というものから始まります。精原細胞は、周囲の細胞から栄養をもらい約74日間かけて精子へと成長します。成長した精子は精細管から飛び出し、精巣上体へと移動します。道中は約40~60cmにも及ぶ長い道のりになり、約14日間かけて旅します。始まりの精原細胞から、ここまでで約三か月間の長い旅を終えた精子ですが、まだ完成というわけでもありません。精子は射精されて初めて受精させる力を持つのです。

卵子との出会い

精子は膣に射出された直後、すぐさま移動を開始します。これは、膣内が酸性になっており精子は長時間生存することができないためです。よって生存可能な子宮腔へと向かい、そこから卵子のある卵管膨大部まで移動します。卵管膨大部までは距離にして17~18cm、人間にしてみれば65kmほどの距離となり、当院から熱海駅までの距離に換算できます。この移動中に精子は卵子と受精する能力を獲得していきます。

 

 

 

 

 

 

 

過酷な生存競争の中、受精能力を獲得した精子は、ようやく卵子と出会います。はじめは数千万以上いた精子も卵子に逢う頃には数百程度にまで減っていると言われています。

精子が卵子と出会うまでにはこのような長いストーリーがあるのです。また、受精には精子の質と量が絶対的に必要になることがわかるかと思います。

男性不妊の実態

厚生労働省による調査(生殖補助医療技術に対する国民の意識に関する研究:2002年)では、不妊治療総患者数466,900人(推計)であり、2015年の調査の際にはカップルの5.5人に1人は不妊治療をしている※1など、年々増加の一途を辿っています。ではそのうち、不妊原因として男性側が挙げられるのはどのくらいなのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

こちらは”不妊の主な原因は夫婦どちらにあるのか”を表したグラフになります。男性側、もしくは夫婦両方に原因がある場合の比率が約半数です。少なくとも約半数が「男性にも原因がある」ということがわかります。つまりは男性側に不妊原因があっても、何ら不思議なことではないと言えます。

※1 [子どもの有無・妻の年齢別にみた、不妊についての心配と治療経験:第15回調査(2015年)厚生労働省] 出典