2016年

Hum Reprod 2016 Apr より

癌治療に伴う化学療法は卵胞や卵子の減少を引き起こすが、小児ではその影響が少ないことが知られていた。今回の研究では化学療法の前後において、小児の癌患者から卵胞を含む卵巣組織及び体外受精可能な卵子の採取が可能であることが分かった。

Hum Reprod 2016 Mar より

抗リン脂質抗体症候群を有する妊娠反復不成功の患者では低用量アスピリンの投与により、妊娠反覆不成功率を改善することが知られていたが、抗リン異質抗体症候群ではない妊娠反復不成功の患者では、そのような改善効果は得られなかった。

Obstet Gynecol 2016 Marより

ARTによる妊娠症例は分娩時の母体合併症のリスクが高いことが知られていたが、不妊症と診断されARTを行わずに妊娠した症例においても、自然妊娠症例よりも分娩時のリスク、特に輸血のリスクが高いことが分かった。このメカニズムについては研究を進める必要がある。

Am J Obstet Gynecol 2016 Marより

卵子提供による妊娠は、その他のARTによる妊娠や自然妊娠の場合よりも、妊娠高血圧症や子癇前症(高血圧による発作)となる確率が有意に大きいことが分かった。

Obstet Gynecol 2016 Febより

乳児死亡に関わる様々なリスク因子(妊娠後のBMIの変化も含む)を考慮し、BMIと乳児死亡との関係を調べたところ、乳児死亡と最も強い相関を示すのは「妊娠時の母体BMI」であることが分かった。よって乳児死亡のリスクを低下させるために母体の肥満レベルを低下させることが重要である。

Obstet Gynecol 2015 Sepより

2009年頃に発生した新型インフルエンザウイルスHINI型の感染によって死亡した妊婦は、妊婦の死亡例の12%を占めていた。これは妊婦において特に死亡率が高いという結果ではないが、感染の予防や感染後のケアは母体の死亡率を減少させるために重要である。

JAMA 2015 Decより

英国におけるIVFによる出生率に関する大規模な調査結果では、平均年齢35歳(18歳-55歳の患者)の患者群での累積出生率は1、4、9回目までで、それぞれ29.5、 50.0、 65.3%、40歳以上の群では1回目で12.3%、6回目の累積妊娠率が31.5%、42歳以上では1周期あたり4%以下であった。

Fertil Steril 2015 Novより

脳下垂体機能低下症は不妊の原因となるが、これによる成長ホルモンの低下をホルモン補充により補った場合の妊娠との関係について調べた。ホルモン補充療法を、妊娠前に中止、妊娠中に中止、妊娠中も継続のいずれの場合でも妊娠経過に差はなかった。

Hum Reprod 2015 Octより

AMH(前胞状卵胞から放出されるホルモン)の値や小卵胞数は卵巣予備能を現していると言われている。それらに対する経口避妊薬使用の影響について調べたところ、非使用者に比べ使用者ではAMHが著しく低い値に至るリスクが1.6倍高いことが分かった。

Hum Reprod 2015 Octより

胚提供を実施したドナーとレシピエントに聞き取りをしたところ、双方とも児とドナーの遺伝的なつながりを重要視しており、遺伝的背景の開示は児とドナー側の双方にとって重要であると考えていた。また、ドナーは児の福祉に関しても責任があると認識していた。

Hum Reprod 2015 Octより

培養液の違いによって胚の発育、妊娠率および出生体重に差がでることが知られている。
培養液の違いによってもたらされたDay2,3胚の細胞数や胚の着床率の違いが胚の代謝や細胞分裂に関わる遺伝子発現の違いと一致することが新たに分かった。

Reproductive BioMedicine Online 2015 Junより

胚の染色体異常が疑われる、年齢が高くIVFの不成功例がある患者において、胚の形態学的特徴から胚の染色体異常を発見できるかどうかを評価した。形態学的特徴と染色体異常は相関しないことが分かり、形態学的特徴からは染色体異常を発見できないことが分かった。

Fertility and Sterility 2015 Novより

子宮筋腫などの理由から卵管摘出を行う事があるが、卵管のみ摘出した場合と卵管および隣接する卵管間膜(卵巣を支える組織)も同時に摘出した場合での、手術後の卵巣機能と手術結果について調べたところ、手術後3か月までではどちらも差がないことが分かった。

JAMA Pediatrics 2016 Marより

排卵誘発・人工授精・ARTによって生まれた子供の4,8,12,18,24,30,36か月の時点における、細かな運動能力・大きな運動能力・コミュニケーション能力・社会性・問題解決能力を調べた結果、出生時体重・双子か否かという事を考慮すると、それらに差は認められなかった。

Fertility and Sterility 2015 Novより

BRCA1/2(この遺伝子に変異があると乳がん・卵巣がんの発症率を高くなる)に変異がある患者と変異がない患者について、IVFでの受精率や妊娠率について調べたところ、両者に差はなかった。ゆえに前者の場合でも正常な卵巣の機能が保たれていることが分かった。

Human Reproduction 2015 Octより

AMH(卵胞から分泌されるホルモン)は卵胞数と相関し、卵胞の反応性を知る指標にもなるが、卵巣中の原子卵胞の数は予測できない。よってAMHからは直接的に卵巣予備能を知ることはできず、現在のところ卵巣予備能を正確に判定する方法はない。

Fertility and Sterility 2015 Octより

精子凍結の際に、アガロースビーズと呼ばれる寒天様の微小なカプセル内に精子を一個ずつ入れ凍結することで、従来よりも精子を高い生存率で融解できる方法を開発した。この方法は精子の数が極めて少ない患者がICSIを行う場合に有用な方法である。

Human Reproduction 2015 Octより

排卵誘発のためのhCG大量投与はOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクを高めるが、低用量hCGを連日投与しGnRH agonistで排卵誘発を行う方法で、従来のhCG大量投与を行う方法と同様な臨床結果が得られた。

Human Reproduction 2015 Octより

培養液の違いによって胚の発育、妊娠の有無および出生体重に差がでることが知られている。今回、培養液の違いによってもたらされたDay2,3胚の細胞数や胚の着床率の違いが、胚の代謝や細胞分裂に関わる遺伝子発現の違いと一致することが新たに分かった。

Human Reproduction 2015 Augより

「卵管留水種を有する不妊症の女性に卵管留水腫開口手術を施行した症例」を過去に報告された文献を基に調査したところ、熟練した施行者による手術の後では18か月後の臨床的妊娠率は27%だった。

Human Reproduction 2015 Augより

ヨーロッパのPGD(着床前診断)協会の年次報告が発表された。今回の報告ではPGS(着床前遺伝子スクリーニング)を目的とした遺伝子診断の件数が前年度より減少していることが明らかになった。またPGDとPGSの合計での臨床的妊娠率は、採卵周期あたり22%、分娩率は採卵あたり17%だった。

Fertility and Sterility2014 Augより

不妊治療が上手くいかない時、治療の終了を検討しなければいけない場合がある。医師側から、または患者側から治療を終了する提案があった場合は、メンタルヘルスの専門家による中立的かつ共感的な立場からの支援が必要である。