ドナー卵子(平均年齢26歳)に顕微授精を実施し、受精卵の染色体異常の頻度と男性の年齢(〜39歳、40〜49歳、50歳〜)との関連を検討した。受精率は50歳以上の男性の精子でわずかに低下したが、胚盤胞率や正常胚率に差は認めなかった。また、異常胚率に相関する因子は卵子年齢のみであったと報告している。
この研究では男性の喫煙と精液所見及びホルモン値の関連を検討した。非喫煙者と比べ、電子タバコの喫煙者は通常の喫煙者と同様に精子数の有意な減少を認めた。一方で、通常の喫煙者ではテストステロン濃度は増加したが、電子タバコの喫煙者では変化は認めなかったと報告している。
近年、体外受精治療の卵巣刺激方法に、Progesterone Primed Ovarian Stimulation(PPOS)という黄体ホルモンを排卵抑制として利用するやり方がでてきた。アンタゴニストを用いた排卵抑制をする方法と比較したところ、正常受精卵数、患者あたりの正常核型胚盤胞数など差がないことが分かった。
新型コロナウィルスに感染し重症であった治癒後の男性の精液所見を調査したところ、25%の男性に乏精子症、精子無力症、無精子症を認めた。精液所見は新型コロナ感染症の重症度と関連することが指摘された。
この研究は採卵周期のトリガーに関してhCG単独を用いた周期とhCG、GnRHアゴニストの併用を用いた周期を比較した。採卵数、成熟卵数、初期胚数、胚盤胞数、全てにおいてhCG単独よりhCGにGnRHを併用した場合の方が有意に上昇したと報告している。
男性の精子のDNA損傷(%DFI)と年齢の関係を検討した。精子のDNA損傷(%DFI)は加齢により有意に増加し、%DFI増加率は41歳以下と42歳以上では、後者でおよそ2倍以上となった。%DFIが15%未満では良好な出産率だが、15〜25%で減少し、25%以上では顕微授精が必要となり、40%以上では流産率が増加したと報告している。
慢性子宮内膜炎がある女性の多くは体外受精治療におけるインプランテーションウィンドウ(着床の窓)が非受容性であることが分かった。治療をすることによって、着床率が上昇したため、慢性子宮内膜炎の治療により適切なインプランテーションウィンドウが得られる可能性があると考えられた。
胚のグレードと女性の年齢を同じ条件で新鮮胚と凍結融解胚の単一胚盤胞移植の成績を比較した。5日目の胚盤胞移植では同等の妊娠継続率だった。6日目の胚盤胞移植ではにおいて、妊娠継続率は凍結融解胚(54.3%)の方が新鮮胚(17.1%)より有意に高いと研究結果がある。
この研究は不妊女性におけるビタミンD濃度とTh1/Th2比測定し、ビタミンD内服によるTh1/Th2比の変化を検討した。約9割の患者にビタミンD低下(30ng/ml未満)を認めた。また、ビタミンD低下の患者にビタミンD内服を行うことでTh1/Th2比が有意に低下すると報告している。
この研究は男性因子がないカップルに対し顕微授精(ICSI)を行った場合、IVF(通常媒精、ふりかけるやり方)と比較し受精率は改善するが出産率が改善する結果は得られなかったと報告している。また、原因不明不妊のカップルにICSIを行った場合にも出生率が改善する結果は得られなかったと報告している。
トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は食事由来のコリンとL-カルニチンが腸内細菌等に代謝された産物であり、糖尿病や肥満のマーカーとされる。卵胞液中のTMAO濃度と卵子の質との関連を検討した研究では胚の質が低かった卵子と比較し良好胚に発育した卵子の卵胞液中のTMAOの濃度は有意に低いと報告している。