培養室のお仕事~体外受精時の精子調整①~

前々回まで長々と人工授精時の精子調製について、密度勾配法という調整法を説明してきました。密度勾配法で調整することによって運動精子を回収し、死滅精子・運動性の悪い精子を取り除くことができ、運動率は上がります。しかし全ての死滅精子・運動不良精子を取り除くことはできません。そこで体外受精時には密度勾配法に加えてSwim-up法という調製を行います。時間や手間はかかりますが、Swim-up法を行うことで調整後の運動率はほぼ100%となります。

体内の条件下では1個の卵子に対して100程度の運動精子があれば受精するのに十分とされていますが、体外受精ではより多くの運動精子が必要です。卵子と調製した精子を同じ培養液中に入れることを媒精(IVF)といいますが、媒精時の培養液中の運動精子濃度は5万~20万/ml程度必要になります。調整後の運動率が低いと、必要な運動精子濃度を満たすためには多量の精子調製液を入れなければなりません。同時に不要な非運動精子も入ってしまい、媒精時の培養環境は悪くなります。そのため体外受精に用いる精子調製液はSwim-up法によって運動率をほぼ100%にし、少量でも必要な運動精子濃度を満たせるようにしています。

次回は具体的にSwim-up法とはどんなことを行っているかお話します。

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