着床不全

着床不全について

40歳以下で良好な受精卵を4個以上、3回以上移植しても着床しない時に着床不全といいます
着床しないことの原因のほとんどが胚の染色体異常と考えられていますが、それ以外に何かないかを調べる検査が着床不全検査です。子宮因子、免疫因子、着床のタイミングを調べます。

要因

母体の問題
子宮因子
着床の窓の因子
免疫の因子

受精卵の問題
着床前診断(PGT)のページへ

母体の問題

子宮因子(子宮の問題)

・子宮内膜ポリープ
・慢性子宮内膜炎
・帝王切開瘢痕部症候群

着床を邪魔するような子宮内膜の状態です。

検査

・子宮鏡検査
 内視鏡というカメラを用いて子宮内を観察する検査です。

・子宮内膜組織検査
 子宮内膜を採取してCD138陽性の形質細胞がどれだけいるかを調べる検査です。

・子宮内膜マイクロバイオーム検査(EMMA)/感染性慢性子宮内膜炎検査(ALICE)

治療

・子宮鏡下手術
 ・・・子宮内膜ポリープ、帝王切開瘢痕部症候群
・腹腔鏡下手術 ・・・帝王切開瘢痕部症候群
・抗生剤 ・・・・・・慢性子宮内膜炎

着床の窓の因子

子宮内膜の受精卵を受け入れる時期(着床の窓)が早すぎたり、遅すぎたりしていることが問題です

着床の窓 合っている

着床の窓が合っていれば受精卵は子宮内膜に着床します。

着床の窓 ずれている

着床の窓がずれているときがあります。そうするとちょうど受け入れたい時期に受精卵がやってこなくて、着床しなくなります。

検査

Endometrial Receptivity Array(ERA) test という検査をします。黄体ホルモンの注射の後、子宮内膜の組織を吸引して採取します。着床時期に発現する遺伝子を検査することにより、着床時期が合っているかずれているかを確認します。

   

子宮内膜組織検査(ERA test)

治療

検査の結果により、ずれていた場合は着床の窓と移植時期を合わせるため、黄体ホルモンの注射や膣剤をいれる時期をずらします。 その人の着床の窓に一致した時期に受精卵を移植することで着床率が上昇するといわれています。

免疫因子

免疫学的拒絶により、半分は自分、半分はパートナー由来の受精卵の受け入れが充分に行うことができず着床不全につながります。

受精卵: semi-allograft
女性にとって半分は自分由来の成分、残りの半分は男性由来の成分で構成されています

着床のためには、半分自分ではないものを攻撃しないようにする

攻撃力が高いと、着床を邪魔してしまうことがあります。

検査

免疫の検査は採血で行います。ヘルパーT細胞(Th1、Th2)を調べます。

本来は、自分ではないものは攻撃しなくてはいけないのですが、着床のために攻撃をしないようにして受け入れます(寛容)。

着床不全の方の中には、Th1/Th2が高値であることが多いと、分かってきています。

治療

タクロリムスはTh1、Th2の攻撃を抑え込む作用があります。これを使うことにより攻撃力を弱め、着床の手助けをします。
採血の結果Th1/Th2の値が高い方はタクロリムスを内服して頂きます。
妊娠した後のフォローアップ採血も行います。

着床不全その他の治療について

着床不全について

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