世界の論文から

Newsletter "infertility" Vol65より

トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は食事由来のコリンとL-カルニチンが腸内細菌等に代謝された産物であり、糖尿病や肥満のマーカーとされる。卵胞液中のTMAO濃度と卵子の質との関連を検討した研究では胚の質が低かった卵子と比較し良好胚に発育した卵子の卵胞液中のTMAOの濃度は有意に低いと報告している。

Newsletter "infertility" Vol65より

生殖年齢の女性の50%がビタミンD欠乏症であり、ビタミンD欠乏症は多嚢胞性卵巣症候群や子宮内膜症などと関連することが報告されている。ビタミンDの栄養強化プログラムと不妊症女性の出産との関連を検討した研究ではビタミンD強化マーガリンを摂取した不妊女性は、摂取をしなかった女性に比べて出産率が上昇すると報告している。

Human Rep 2020 Junより

第一子をART治療で出産した女性が第2子のため再度ART治療を行った場合の累積生児獲得率を検討した研究では、既存の凍結胚を用いた女性の累積生児獲得率は60~90%、新たに採卵を行った女性の累積生児獲得率は50~70%であると報告している。

Human Rep 2020 Junより

タイミングもしくは人工授精においてクロミフェン(内服薬)投与により子宮内膜が薄くなった場合の治療選択について検討した。子宮内膜の厚さを指標にする。クロミフェン周期が不成功に終わった後、子宮内膜の厚さが7mm以下であればゴナドトロピン(注射)に切り替えた方がよい可能性がある。

Fertil Steril 2020 Febより

38歳以上の患者において、IVFを行った患者とICSIを行った患者を比較し受精率に差はなかったという報告がある。

Fertil Steril 2020 Febより

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)を行い染色体正常の胚盤胞を移植しても継続妊娠率は最大50%程度である。したがって、胚の染色体以外の因子の重要性が指摘されている。その一つとして子宮内膜の受容能が挙げられ、子宮内膜上の遺伝子が関わるバイオマーカーをマイクロアレイを用いて測定する方法や超音波診断で子宮内膜の変化を追跡することで受容能を特定する方法が研究されている。

Fertil Steril 2020 Febより

ビトリフィケーション(ガラス化法)とは卵子や胚の迅速凍結法のことで最近ではかつてみられないほど優れたレベルに達している。凍結胚移植と新鮮胚移植の成績は同様であると報告している。

Fertil Steril 2020 Aprより

子宮内膜症を合併している患者に3か月間GnRHアゴニストの投与を行うと、投与しなかった患者と比較して受精率が高いという報告がある。

Human Rep 2020 Marより

近年PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)の有益性が過大評価され、一方でPGT-Aの実施による胚の着床能低下は過小評価されている。この論文では35歳以上で胚盤胞を複数保存できた患者には有用である可能性はあるが、40歳以上で凍結保存胚の少ない患者にはメリットは少ないと述べている。

Fertil Steril 2003より

抗核抗体陽性の着床不全の患者さんに対して、アスピリンとヘパリンを使用した研究です。着床率が改善することはありませんでした。着床不全の患者さんに対してやみくもにアスピリンを使うことを控えるべきと示唆された。

Human Rep 2020 Febより

プロゲステロン(黄体ホルモン)を含有する腟剤とプロゲステロン膣ゲルを比較したところ、妊娠率に有意な差は認められないという結果が得られた。

Human Rep 2020 Febより

顕微授精(ICSI)で出産した児においては体外受精(IVF)で出産した児と比較し、学業の成績は同等であるという調査結果が得られた。

Human Rep 2020 Febより

肥満やメタボリック症候群のような脂肪毒性環境下は胚の発育に悪影響を及ぼすことが分かっている。この研究では、脂肪毒性環境下の牛の卵子から得られた正常の胚盤胞において転写や代謝に関わる細胞の機能が長期にわたって障害されることを明らかにし、ハッチング後の胚発育も遅延すると報告している。

Human Repro. 2019 Octより

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性とPCOSではない女性を比較したところ、累積の出産率に差は認められなかったという結果が得られた。

Human Repro. 2019 Octより

反復着床障害を経験している女性に対して5.5年の追跡調査を行い、期間中の出産率は49%であった。また、出産に結びつく妊娠に至る期間の中央値は反復着床障害と診断後9か月であったとの報告がある。