神奈川県の不妊治療専門クリニック 矢内原ウィメンズクリニック

老化の原因、「酸化」とは? 後編

培養部 培養部―卵・胚について
抗酸化力とは?

人体にとって活性酸素は必要なもの、しかし活性酸素は細胞を傷つける危険なものでもあります。したがって、体にとって適量でなければなりません。そのバランスを保つのが「抗酸化力」と呼ばれるものです。抗酸化力とは読んで字の如く、酸化に抗う力、すなわち活性酸素量を低下させ、バランスを保つ力の事を指します。基本的に人体にはこの抗酸化力となる物質(抗酸化物質)が体内で合成されています。ですが年齢の増加とともに抗酸化力は低下していき、相対的に活性酸素量が増加していく傾向にあります。その為、体内での酸化ストレスのバランスを保つために外部から抗酸化物質を得る必要があるのです。

 

抗酸化物質について

抗酸化力として働く物質は体内合成だけでなく、食事等によっても得ることができます。

ビタミンA
脂溶性ビタミンの一つです。抗酸化物質としてだけでなく、皮膚や粘膜の健康維持や視力維持の効果もあります。レバーやニンジン等に多く含まれており、一日当たりの推奨量は14歳以上で700〜900㎍RAE程度、だいたいニンジン1本分程度で一日分を賄うことができます(ニンジン1本:150g程度大)。ビタミンAには過剰摂取による悪影響がある為、サプリメント等で補う際には十分注意し、用法用量を守って使用してください。

 

ビタミンC

水溶性ビタミンの一つです。ビタミンAと異なり、過剰摂取がないため摂取量に注意が必要ということはありません。一方、余剰分がすぐ排出されてしまうため大量摂取も意味を成しません。体内で作られないため毎日の摂取が必要ですが、ペットボトル飲料や市販製品のほとんどに変色防止、酸化防止目的でビタミンCが添加されているため不足するということがまずありません。

 

ビタミンE

脂溶性ビタミンの一つです。非常に強い抗酸化力を持っており、酸化ストレスを抑え、免疫増強などの作用を持っています。種子類(ナッツ類)や植物油(ひまわり、ベニバナ)等に多く含まれており、一日当たりの摂取量は成人で15mg程度、アーモンド50g(約35粒程度)で一日分を賄うことができます。しかし含有量が豊富な食材はオイルやナッツ等が締めており、アレルギーなどの心配やそもそも毎日摂取するのが難しいかと思います。無理に食事で摂るよりもサプリなどでの摂取が望ましいと思われます。過剰摂取による悪影響は現研究等では確認されていませんが、出血のリスク上昇等が示唆されています。

その他、ワインなどに含まれているポリフェノール、緑茶などに含まれるカテキンなどが抗酸化物質に該当します。

 

まとめ

酸化はヒトのすべての細胞に影響し、それは卵子も例外ではありません。酸化ストレスは年齢による抗酸化力低下だけでなく、喫煙や過度な運動、紫外線等外的要因によって上昇します。年齢は誰であろうと重ねるもの、その他の要因を一つ一つ取り除くことがカギとなります。また、喫煙や過度な紫外線などは当然体に良いものではありません。適度かつバランスよく栄養を取ることは酸化ストレスを抑えるだけでなく健康そのものに寄与します。

目に見える変化はすぐに実感できないかもしれませんが、人生単位で考え健康寿命を延ばすためにも気を付けてみてはいかがでしょうか。

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